甲状腺とは
甲状腺とは
甲状腺は、のどぼとけのすぐ下にある蝶のような形をした臓器で、右左の2つの部分(葉)からできており、気管の前を包むように位置しています。甲状腺は、食べものなどに含まれるヨウ素を使って甲状腺ホルモンを作り出し、血液中に分泌します。甲状腺ホルモンは全身をめぐって新陳代謝を活発にし、体の成長や発育を助ける大切な働きをしています。
甲状腺ホルモンの異常による症状
甲状腺ホルモンの異常による症状
甲状腺中症(ホルモンが多いとき) | 甲状腺機能低下症(ホルモンが少ないとき) |
脈が速い、ドキドキする | 脈が遅くなる |
暑がりになる、汗が止まらない | 寒がりになり、手足が冷える、肌が乾燥する |
手足がふるえる | 言葉や動作がゆっくりになる |
やせる | ふとる |
イライラしやすい | 眠気やもの忘れが増える |
下痢や軟便になりやすい | 便秘になりやすい |
経血量が少ない(過小月経) | 経血量が多い(過多月経) |
どちらでも起こりうる症状 | |
だるい、疲れやすい、足がむくむ、脱毛、首が腫れる | |
バセドウ病
バセドウ病
甲状腺ホルモンは、通常、脳から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって適切にコントロールされていますが、バセドウ病ではそのバランスが崩れ、甲状腺ホルモンが過剰になります。
これにより様々な症状が出現する他に、放置をすると血圧の上昇や心臓への負担がかかり、
場合によっては命に関わることもあるため早期の発見と治療が大切です。
甲状腺ホルモンは、通常、脳から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって適切にコントロールされていますが、バセドウ病ではそのバランスが崩れ、甲状腺ホルモンが過剰になります。これにより様々な症状が出現する他に、放置をすると血圧の上昇や心臓への負担がかかり、場合によっては命に関わることもあるため早期の発見と治療が大切です。
⚫︎ バセドウ病の原因
自己免疫の異常により、甲状腺刺激ホルモン受容体抗体(TRAb)や甲状腺刺激抗体(TSAb)といった抗体が作られ、甲状腺を必要以上に刺激してしまい、甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまうのが原因です。この抗体がなぜ作られるのかは完全には解明されていませんが、遺伝的な体質、強いストレス、ウイルス感染、出産などによる体の変化が発症のきっかけになると考えられています。
⚫︎ バセドウ病の症状
代表的な症状に甲状腺の腫大・頻脈・眼球突出がありますが、この3つがすべて揃わないケースも少なくありません。そのほかにも様々な症状が出現し、個人差があります。
症状が出る場所 | 症状 |
全身 | 暑がりになる、だるい、疲れやすい、微熱が続く、やせる、足がむくむ |
目・首まわり | 目つきがきつくなる、目が出てくる(飛び出して見える)、首がはれる |
循環器 | 脈が速い、ドキドキする、息切れ、心不全、心房細動 |
消化器 | 食欲が増える、のどがかわく、軟便、下痢 |
皮ふ | 脱毛、かゆみ、汗が止まらない、皮膚が黒くなる |
筋肉・骨 | 筋力が落ちる、脱力感、手足のふるえ、骨粗鬆症、手足が動かしにくくなる(周期性四肢麻痺) |
精神面 | イライラしやすい、眠れない、集中できない |
女性の体 | 月経不順、過小月経、不妊、流産、早産、妊娠性高血圧 |
甲状腺関連眼症
・眼球突出
目の奥にある筋肉や脂肪が炎症を起こし、目が前に飛び出して見える状態です。目の充血や痛み、圧迫感などの症状があり、甲状腺の治療をしても改善しない場合は眼の治療が必要になることもあります。
・眼瞼後退
まぶたを動かす筋肉が緊張して、上まぶたがつり上がり、白目が大きく見える状態です。ドライアイになりやく、甲状腺ホルモンが安定すれば改善していきます。
・複視
目を動かす筋肉が炎症で腫れることで、両目の動きがずれてものが二重に見える状態です。片目で見ると二重にはなりません。
心疾患
頻脈や血圧の上昇で心臓に負担がかかり不整脈や心不全を起こすことがあります。特に高齢者は注意が必要で、早期に治療しホルモンを正常に保つことが大切です。
甲状腺クリーゼ
バセドウ病を治療せずに放置したり、処方された薬を適切に服用しないと、感染症や手術などをきっかけに「甲状腺クリーゼ」という重い症状を起こすことがあります。高熱、下痢、意識障害、頻脈、心不全などの症状が出現し、命に関わることもあるため、入院し、集中治療室で治療を受ける必要があります。
周期性四肢麻痺
若い男性に多く見られ、甲状腺ホルモンが高い状態で暴飲暴食や激しい運動をすると、血液中のカリウム濃度が下がり、手足に力が入らなくなることがあります。一時的に回復しますが、再発防止のためには甲状腺の治療をきちんと行うことが重要です。
高血糖・糖尿病
甲状腺ホルモンが多くなると血糖値も上がることがあります。ホルモンを正常に保つことで、血糖値も安定します。
骨粗鬆症
ホルモンの過剰で骨の代謝が早まり、骨がもろくなることがあります。特に閉経後の女性はリスクが高くなります。治療でホルモンが安定すれば、骨密度も回復していきます。
⚫︎ バセドウ病の治療
バセドウ病の治療には、①薬物療法②アイソトープ治療③手術の3つの方法があります。まずは、抗甲状腺薬(チアマゾール・プロピルチオウラシル)を使った薬物療法が行い、薬の効果が不十分な場合や副作用で薬を続けられない場合には、アイソトープ治療や手術を検討します。その際は高度医療機関にご紹介いたします。
<抗甲状腺薬を服用中の注意点>
まれに血液中の白血球の減少や肝機能障害・皮疹などの副作用が起こることがあるため、治療を始めてから2か月ほどは2週間ごとに血液検査を行い、副作用がないかを確認する必要があります。38℃以上の発熱が出た場合は、副作用による「顆粒球減少症」をきたしている可能性があるため、すぐに薬を中止して受診してください。
⚫︎ バセドウ病の日常生活での注意点
まず、無理をせず十分な休養をとることが大切です。食事は、栄養バランスを意識することが大切で、特に、ヨウ素を多く含む食品(昆布・わかめ・ひじきなど)は摂りすぎないようにしましょう。また、たばこや過度の飲酒を控えることも重要です。特に喫煙は、バセドウ病による眼の症状を悪化させることがあります。激しい運動は甲状腺機能が安定するまでは控え、動悸や息切れがない程度の軽い運動(散歩やストレッチなど)にとどめましょう。
亜急性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎
風邪をひいたあとなどに発症することが多く、炎症によって甲状腺の一部が破壊され、甲状腺ホルモンが一時的に多く出る病気です。症状は、首の前のあたりに強い痛みが出
るのが特徴で、その他に動悸・手のふるえ・汗をかきやすい・だるい・体重減少などの
症状が出ることもあります。診断は、血液検査や甲状腺エコー検査で行います。炎症の
期間は数週間〜3か月ほどで、発熱や痛みが強い場合は対症療法として解熱鎮痛薬やステ
ロイド薬を使うこともありますが、自然に回復することが多いです。
風邪をひいたあとなどに発症することが多く、炎症によって甲状腺の一部が破壊され、甲状腺ホルモンが一時的に多く出る病気です。症状は、首の前のあたりに強い痛みが出るのが特徴で、その他に動悸・手のふるえ・汗をかきやすい・だるい・体重減少などの症状が出ることもあります。診断は、血液検査や甲状腺エコー検査で行います。炎症の期間は数週間〜3か月ほどで、発熱や痛みが強い場合は対症療法として解熱鎮痛薬やステロイド薬を使うこともありますが、自然に回復することが多いです。
橋本病(慢性甲状腺炎)
橋本病(慢性甲状腺炎)
自己免疫の異常で自分の甲状腺を攻撃してしまい、甲状腺に慢性的な炎症が起こり、少しずつ甲状腺の細胞が壊され、甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です(甲状腺機能低下症)。原因は、遺伝や環境要因(ストレス・感染症・妊娠など)、ヨードの過剰摂取(昆布・イソジン・造影剤など)が関与していると考えられていますが、完全には解明されていません。なお、橋本病のすべての人がホルモンの異常を起こすわけ
ではなく、約7割以上の人は正常な状態を保っています。橋本病は男性よりも女性に多く30~40歳代の発症が多いと言われています。
自己免疫の異常で自分の甲状腺を攻撃してしまい、甲状腺に慢性的な炎症が起こり、少しずつ甲状腺の細胞が壊され、甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です(甲状腺機能低下症)。原因は、遺伝や環境要因(ストレス・感染症・妊娠など)、ヨードの過剰摂取(昆布・イソジン・造影剤など)が関与していると考えられていますが、完全には解明されていません。なお、橋本病のすべての人がホルモンの異常を起こすわけ
ではなく、約7割以上の人は正常な状態を保っています。橋本病は男性よりも女性に多く30~40歳代の発症が多いと言われています。
⚫︎ 橋本病の症状
症状が出る場所 | 症状 |
全身 | 寒がりになる、手足が冷える、声がかすれる、ふとる、足がむくむ |
首まわり | 首がはれる |
循環器 | 脈が遅い、心不全 |
消化器 | 便秘 |
皮ふ | 脱毛、乾燥しやすい |
筋肉・骨 | 筋力が落ちる、肩・首のこりが続く |
精神面 | やる気が出ない、眠気が強い、もの忘れが増える |
女性の体 | 月経不順、過多月経、不妊 |
⚫︎ 橋本病の治療
甲状腺ホルモンの値が正常な場合や軽い甲状腺機能低下(潜在性甲状腺機能低下症)の場合は治療の必要はありません。甲状腺ホルモンが低下している場合は、チラージンS(レボチロキシン)という飲み薬で甲状腺ホルモンを補います。なお、妊娠を希望している方や妊娠中の方は、血液検査の結果で甲状腺機能が正常でも治療を検討することがあります。
結節性甲状腺腫(甲状腺のしこり)
結節性甲状腺腫(甲状腺のしこり)
9割近くは濾胞腺腫・腺腫様甲状腺種・のう胞といった良性のもので、治療をせず経過観察で十分なことがほとんどです。残りの1割が乳頭癌・濾胞癌・髄様癌・低分化癌・未分化癌・悪性リンパ腫といった悪性のものです。悪性のうち多くは「甲状腺乳頭癌」という進行の遅いタイプで、適切に治療すれば、命に関わることはほとんどありません。一方で、「未分化癌」は高齢者に多く、進行が速いため注意が必要です。
より詳しい検査や治療が必要な場合は、高度医療機関にご紹介いたします。
⚫︎ 甲状腺疾患と不妊の関係
甲状腺ホルモンが多すぎる甲状腺機能亢進症や、逆に少なすぎる甲状腺機能低下症では、月経不順や排卵の乱れ、性欲の低下などが起こり、不妊の原因になることがあります。また、甲状腺ホルモンの値は正常でも、脳から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高い状態(潜在性甲状腺機能低下症)も、不妊の一因になることがあります。さらに、抗サ
イログロブリン抗体や抗TPO抗体といった甲状腺に対する自己抗体が陽性の方も、不妊のリスクが高いと報告されています。甲状腺の病気は女性に多く見られますが、検査の機会
が少ないため見逃されることもあります。妊娠を希望している方や不妊治療を受けている
方は、一度血液検査で甲状腺機能を確認しておくことをおすすめします。
甲状腺ホルモンが多すぎる甲状腺機能亢進症や、逆に少なすぎる甲状腺機能低下症では、月経不順や排卵の乱れ、性欲の低下などが起こり、不妊の原因になることがあります。また、甲状腺ホルモンの値は正常でも、脳から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高い状態(潜在性甲状腺機能低下症)も、不妊の一因になることがあります。さらに、抗サイログロブリン抗体や抗TPO抗体といった甲状腺に対する自己抗体が陽性の方も、不妊のリスクが高いと報告されています。甲状腺の病気は女性に多く見られますが、検査の機会が少ないため見逃されることもあります。妊娠を希望している方や不妊治療を受けている方は、一度血液検査で甲状腺機能を確認しておくことをおすすめします。
